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女性泌尿器外来


女性泌尿器外来は、産婦人外来毎週水曜日となります。
診療日等については、外来診療担当医表をご覧ください。

ページ内目次


診療科の紹介

当科では、産婦人科領域と女性泌尿器領域に係る疾患を診察しています。

女性泌尿器外来

女性は比較的若い年代から尿もれを経験することがあり、中高年になると生活の質(quality of life:QOL)を低下させる疾患として、尿もれや骨盤臓器脱が非常に多く見られます。これらは外出や仕事、運動などの日常生活に支障をきたすことがあります。対象とする疾患は「女性下部尿路症状(female lower urinary tract symptoms:FLUTS)」と呼ばれ、症状の出方に応じて次の3つに分類されます。

 ・尿をためるときに現れる症状(蓄尿症状)
 ・尿を出すときに現れる症状(排尿症状)
 ・排尿直後に現れる症状(排尿後症状)

なかでも尿もれ(蓄尿症状に含まれる尿失禁)は、健康な女性でも頻繁に経験される症状で、適切な対応がない場合はQOLを大きく低下させます。女性の尿失禁は主に3つに分類され、次の割合で見られます。
 ・腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence:SUI)約50%
 ・切迫性尿失禁(urge urinary incontinence:UUI)約20%
 ・両者を併せ持つ混合性尿失禁(mixed urinary incontinence*MUI)約30%

加齢や手術歴、神経疾患に伴う神経因性膀胱では、膀胱平滑筋が過敏になった「過活動膀胱(overactive bladder:OAB)」や、筋肉が弛緩して収縮しにくくなる「溢流性尿失禁」を引き起こすことがあります。さらに、介護が必要な高齢女性では、運動機能障害や認知機能障害に起因する「機能性尿失禁」が重なることもあります。適切な治療を行うためには、これらの尿失禁タイプの鑑別判断が不可欠です。

女性泌尿器外来では、FLUTSとして現れる全ての症状を対象に診察を行います。症状の原因は大きく分けて以下の2つです(表1、表2)

1. 膀胱や尿道に異常がある場合(下部尿路機能障害)、例えば骨盤臓器脱、間質性膀胱炎、尿路性器感染など
2. 心臓や腎臓の障害、糖尿病などの内分泌疾患、脳梗塞やパーキンソン病などの神経疾患による場合(下部尿路機能障害の疾患)

これらの原因を正確に鑑別し、原因疾患に応じた治療を行うことが最も重要です。当科で対応が難しい疾患については、適切な診療科に紹介し、連携して治療を進めます。残念ながら、現代医療ではこれらの疾患を完全に治すことは難しいのが現状です。そのため、原因疾患の治療が行われていても残るFLUTSに対しては、QOLを低下させないための治療を提案しています。
(表1)
下部尿路機能障害 下部尿路機能障害以外の要因
蓄尿機能障害 排尿機能障害
膀胱知覚亢進 下部尿路閉塞 多尿・夜間多尿
・間質性膀胱炎 ・前立線肥大、骨盤臓器脱 ・内分泌疾患、多飲、高血圧、心不全、腎機能障害、睡眠時無呼吸症候群
排尿筋過活動 排尿筋低活動 睡眠障害
・加齢、神経因性膀胱、炎症 ・加齢、神経因性膀胱、下部尿路閉塞 ・ストレス、精神疾患、神経疾患、
アルコール/カフェイン/薬剤
尿道括約筋障害 心因性
・分娩後の損傷 ・精神性ストレス、不安
↓   下部尿路機能障害・下部尿路機能障害以外の要因は、  ↓
↓ 蓄尿症状、排尿症状、排尿後症状のいずれも引き起こします ↓

(表2)
下部尿路症状(LUTS)
蓄尿症状 排尿症状 排尿後症状
昼間頻尿 尿勢低下 残尿感
夜間頻尿 尿線分割・尿線散乱 排尿後尿滴下
尿意切迫感 尿線途絶
尿失禁(腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、夜尿症、持続性尿失禁、その他の尿失禁) 排尿遅延
膀胱知覚(正常、亢進、低下、欠如、非特異的) 腹圧排尿
週末滴下
排尿機能障害が排尿症状を起こすという単純な関係ではありません(例えば、骨盤臓器脱は排尿機能障害に含まれる疾患ですが、頻尿、尿意切迫感、尿失禁、尿勢低下、腹圧排尿、残尿感などの症状を起こします)

担当医

鈴木 省治(産婦人科部長)