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産婦人科


産婦人科のご紹介です。
診療日等については、外来診療担当医表をご覧ください。

産婦人科の紹介

尿もれや骨盤臓器脱の治療を、腹腔鏡や経腟手術などを用いて、できるだけ体への負担を抑えて行っています。女性は比較的若い年代から尿もれが始まることもあり、中高年になると尿もれや骨盤臓器脱が生活の質(QOL)を大きく下げる要因となります。外出や仕事、運動にも支障をきたすため、治療が重要です。
 当科は、日本初の「女性尿失禁外来」(1986年・名古屋大学医学部附属病院)からの流れを受け継ぎ、ウロギネコロジー(泌尿器と婦人科をまたぐ診療分野)のパイオニアとして、浜松赤十字病院にて「女性骨盤底外科」として独立しました。
骨盤臓器脱や尿失禁などに加え、しばしば同時に見られる直腸脱の治療や、男性の腹圧性尿失禁に対する「尿道スリング手術」にも対応しています。
男性の腹圧性尿失禁は、前立腺がん手術後に起こることが多く、最近は軽度~中等度の患者さんが増加しています。これまでの主な治療には、骨盤底筋トレーニング、人工尿道括約筋(AMS800)、先進医療である幹細胞治療や、自費診療のレーザー治療などがあります。
海外では、軽症~中等度の方に対して「尿道スリング手術」が主流であり、女性のTVTやTOT手術に近い方法です。この手術は人工括約筋と異なり、ポンプ操作が不要で故障もなく、感染が少ないのが特徴です。
女性骨盤底外科の診療は、泌尿器科・産婦人科どちらの外来でも受診可能で、男性の方も安心してご来院いただけます

骨盤臓器脱について

Q1. 骨盤臓器脱はどのような症状ですか?
☆:腟から何かが出てくる感じ、股の違和感、重だるさ、尿もれや排尿困難、便秘、性交痛などがあります。
骨盤臓器脱(POP: Pelvic Organ Prolapse)は、腟の中や外に子宮・膀胱・直腸などの骨盤内臓器が下がってくる状態です。主な症状は以下のとおりです:
 • 腟の中に何かが下がっている感じ(「何かが出ている」「玉のようなものが触れる」など)
 • 骨盤や下腹部の重だるさ、圧迫感
 • 長時間の立ち仕事や夕方に悪化する違和感
 • 尿もれ(腹圧性尿失禁)、排尿困難
 • 頻尿や残尿感
 • 便秘や排便困難
 • 性交時の違和感・痛み
 • 下がっているところが擦れて下着に血が付く

Q2. 骨盤臓器脱は何が原因で、何歳頃から起きますか?
☆:出産や加齢、閉経による筋力低下、肥満、慢性的な咳や便秘、重いものを持つ習慣などが原因です。多くは40代後半~60代以降に起こります。
【主な原因】
 • 出産歴(特に経腟分娩)
  → 骨盤底筋群が伸びること、神経が損傷することで骨盤底筋群(特に肛門周囲の筋肉)が十分に収縮できない。
 • 加齢・閉経
  → 女性ホルモン(エストロゲン)減少により、筋肉や組織の弾力性が低下します。
 • 肥満
 • 慢性的な咳や便秘
 • 重い物を持つ労働や運動習慣
 • 遺伝的体質(結合組織の弱さ)
【発症年齢】
 • 多くは40代後半~60代以降の女性に多く見られます。ただし、若年でも出産後などに発症することがあります。

Q3. 骨盤臓器脱は治療しなくても大丈夫ですか?
☆:軽度なら経過観察でもよい場合もありますが、進行すると日常生活に支障をきたすため、早めの対処が望ましいです。
症状が軽く、本人が気にならない場合は経過観察でもよいとされます。ただし、以下のような場合は治療が推奨されます:
 • 症状が進行してきた
 • 排尿・排便に支障が出てきた
 • 外陰部に常に物が触れて不快
 • 性交時に痛みや支障がある
放置すると徐々に進行し、器具や手術でしか対処できなくなる可能性があるため、早めの対策が重要です。

Q4. 骨盤臓器脱の予防と治療方法について教えてください。
☆:【予防】骨盤底筋の強化(定期的なトレーニング)、肥満予防、便秘や咳の改善、重いものを持つことを避ける
☆:【治療】骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)、ペッサリー装着(腟に器具を入れる)、手術(腟から、または腹腔鏡)
【予防方法】
 • 定期的な骨盤底筋トレーニング:予防方法であり軽症なら治療効果があります。
 • 便秘や慢性咳の予防・治療
 • 重い物をなるべく持たない
 • 長時間の立ちっぱなしを避ける
 • 体重管理
 • 出産後の骨盤ケア
【治療方法】
 1. 保存療法(軽度の場合)
  o 骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操):筋肉を鍛えて臓器の支持力を回復します。
  o ペッサリー挿入:腟内に器具を挿入し、脱出を防ぎます(医師の管理のもと定期的に交換)。
  o ライフスタイルの改善:体重管理、便秘の改善、咳の治療など。
 2. 手術療法(重度・進行例)
  o 腟式手術(腟からの臓器固定・子宮摘出など):欧米では自己組織での修復手術(NTR: Native Tissue Repair)が最初に選択され、ガイドラインでも推奨されています。
  o 腹腔鏡手術/腹式手術:メッシュを使って臓器を固定(仙骨腟固定など)。
  o 手術後は再発防止のため、術後のケア(筋トレなど)が重要です。

ケーゲル体操とは?

骨盤内の臓器(膀胱・子宮・直腸など)を支えている「骨盤底筋群」を鍛える体操です。尿もれ・骨盤臓器脱の予防や改善に効果があります。
準備:まず筋肉を意識する練習

1. 排尿を途中で止めるときに使う筋肉が「骨盤底筋」です(※実際にトイレで止めるのは最初の確認だけにしてください)。
2. お尻や太もも、お腹を動かさずに、腟・肛門・尿道をギュッと締める感覚が正解です。

基本のケーゲル体操のやり方(初級編)

1. 姿勢:椅子に座る・あおむけ・立って行う、どれでもOK(最初は仰向けがやりやすいです)。
2. 筋肉を締める:腟・肛門を「下から引き上げる」ように意識して締める。
3. 5秒キープ:締めた状態を5秒保つ(慣れてきたら10秒に)。
4. ゆっくり緩める:力を抜いて5秒休む。
5. 10回1セットを1日3回程度行う(朝・昼・夜)。

筋持久力と瞬発力の両方を鍛える(上級編)

• 持続型トレーニング:10秒締めて5秒休む×5回
• 速筋トレーニング:1秒締めて1秒休む×10回
• セット数:1日6セットが理想

注意点

• 呼吸を止めない:自然な呼吸を保ちましょう。
• 腹筋・お尻に力を入れない:骨盤底筋だけに集中。
• 急激な効果を求めず:効果が出るまでに数週間~数か月かかります。
• 続けることが大切:習慣にすると効果が高まります。

画像生成:ChatGPT(OpenAI)

対象疾患と診療内容

当科では、主に以下のような骨盤内の臓器に関わる病気や症状に対して、患者さん一人ひとりに合った治療法を提案しています。
骨盤臓器脱の手術(腟からのアプローチ)
腟から行う手術は、傷が小さく回復も早いという特徴があります。特に下記のような術式を行っています:
 • 腟式子宮全摘術(VH):腟から子宮を取り出す手術です。
 • 腟壁形成術:腟の壁が膨らんでいる部分(膀胱瘤・直腸瘤など)を引き締めて元の位置に戻します。
 • 腟断端挙上術(McCall法、Modified McCall法、Shull法など):子宮摘出後、腟の奥が落ちてこないように靱帯などに固定します。
 • 会陰形成術:腟の入り口を引き締めて支えを補強する手術です。
 • 仙棘靭帯固定術(SSLF):腟の奥を骨盤内の強い靱帯に縫い付けて、内臓が下がらないようにします。
 • マンチェスター手術:子宮の頚部(入り口)を一部切除し、靱帯にしっかり固定することで、子宮を残しつつ脱出を防ぎます。
 • 腟閉鎖術(Le Fort法など):高齢の方など性交渉の予定がない場合に、腟の奥を閉じることで臓器の脱出を防ぎます。
 • TVM手術:メッシュ(人工素材)を使って、弱くなった腟の壁を補強します。
骨盤臓器脱の腹腔鏡手術
 • 腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC):お腹に小さな穴を開けてカメラと器具を入れ、子宮や腟の奥を骨盤の奥(仙骨前面にある前縦靭帯)にメッシュで固定します。
腹圧性尿失禁の手術
 • TOT手術(女性向け):尿道の下にテープを通して、咳やくしゃみで漏れる尿を防ぐ手術です。
 • 男性の尿道スリング手術:前立腺がん手術後などにみられる尿漏れに対して、尿道を支えるメッシュを挿入する手術です。
その他の手術
 • 過活動膀胱の治療:膀胱が勝手に収縮してしまう過活動膀胱に対しては、「ボツリヌス毒素注入」や「仙骨神経刺激療法(SNM)」などの治療を行います。
 • 直腸脱の手術:肛門から出ている直腸の壁を縫い縮め、元の位置に戻します。
 • 尿道憩室の治療:腟から尿道の憩室を取り除き、尿道の穴を塞ぎます

腟から取り除いた尿道憩室の粘膜です。

当科LSCの特徴(腹腔鏡下仙骨腟固定術)

LSCは、メッシュを使って腟の奥や子宮を骨盤の奥にある骨にしっかり固定する、効果の高い手術です。
当科では以下のような工夫をしています:
 1. ダブルメッシュ法:前と後ろの腟壁両方にメッシュをあてて固定するため、再発を防ぎます。
 2. 3か所だけの小さな傷:お腹に開ける穴は3つ。通常より小さく、術後の痛みや脱腸のリスクが低くなります。
 3. 縫合は丁寧に、数多く:固定のために合計22か所をしっかり縫い付けて、メッシュがずれにくいようにします。
 4. 腹膜(お腹の内側の膜)を丁寧に閉じる:癒着や脱腸の予防になります。
 5. 卵管も切除:卵巣がんの予防のため、卵管も一緒に取り除く方針です。
 6. 他の病変も同時に治療可能:筋腫や卵巣腫瘍があっても一度の手術で対応できます。
 7. 再発リスクが高い場合は追加処置:例えば、小腸が下がっている場合は腟壁も縫い縮めて強化します。

ロボット支援腹腔鏡手術(RSC)で、筋腫のある子宮を臍から分割して摘出し、両側卵管も取り出しました。

当科NTRの特徴(メッシュを使わない腟式手術)

NTRは、自分の組織を使って臓器を支える、体にやさしい手術です。
 1. 重度の子宮脱にも対応:子宮が完全に外に出るほどの症状でも、複数の手術を組み合わせることで、再発を防ぎます。
 2. 腟断端固定を重視:軽症の骨盤臓器脱を含めて腟の奥をしっかり固定することで、再発を防ぎます。

腟から摘出した子宮と両側の卵管です。

頚部に筋腫のある子宮と両側の卵管を腟から摘出しました。

筋腫を伴う子宮と両側の卵管を腟から摘出しました。

子宮、右卵巣付近にあった嚢胞、両側の卵管、後腟壁の粘膜を腟から摘出しました。

多くの筋腫を含んだ子宮を分割して腟から取り出し、両側の卵管も一緒に摘出しました。

拡張した子宮(内腔12.5cm)を腟から摘出しました。卵管は切除していません。

腟から摘出した子宮と両側の卵管です(病理診断は「子宮体癌」でした)。

 3. メッシュなしでも対応可能:多くの患者さんにメッシュを使わない手術で対応できます。性交渉も維持できます。
 4. マンチェスター手術が有効なケース:子宮を残したい人や、軽度の子宮脱・膀胱瘤にはこの手術が有効です。月経がある方では月経も継続します。

マンチェスター手術で切除した子宮頚部です(病理診断は「微小腺過形成」でした)。

 5. 低侵襲なSSLF:メッシュや子宮摘出、腟閉鎖を避けたい方に、靱帯への固定だけで治療する方法もあります。

その他の特徴

 1. 治療法を比較して説明:希望に応じて、複数の選択肢(手術方法)を提示し、詳しく説明します。
 2. 再発やメッシュの問題にも対応:他院で行った手術後の合併症にも対応可能です。メッシュ除去や再手術にも実績があります。

子宮脱にTLH行った後の再発例で、露出した非吸収糸を取り除きました(SSLFで腟断端を固定しました)。

腟から摘出した子宮と両側の卵管です。TVM後の再発例で、感染したメッシュも一緒に取り除きました。

 3. 卵巣腫瘍の同時切除も可能:腟からの手術に慣れているため、子宮脱と同時に卵巣腫瘍の切除もできます。

腟から摘出した子宮、左側の卵管と卵巣腫瘍です。

 4. 当科のTOTは改良型:テープを入れる軌道を変えて、合併症を減らしながら高い治療効果を維持しています。

骨盤臓器脱手術の問題点

 1. 専門分野の偏りがあること:泌尿器科または産婦人科のどちらかに偏ると、すべての手術に精通していない医師が多く、選べる手術が限られることがあります。
 2. 不適切な手術の適応
  ― メッシュ手術(TVM)は海外では禁止または制限されています。
  ― 軽症の人に過剰な手術(RSC/LSC)が行われることもあります。
  ― 高齢で性交渉のない方には、腟閉鎖術のような手術が合う場合もあります。
 3. 手術時間の短縮を優先する問題:必要な工程を省いて手術時間を短くする施設もありますが、当科では安全性と再発防止を優先しています。
 4. 欧米では初回手術にNTRが主流:メッシュを使わない手術で十分な効果が出る症例が多く、再発した場合に初めてメッシュを使用するのが一般的です。

医師の紹介

北村 公也(きたむら きみや)

非常勤

茂庭 將彦(もにわ のぶひこ)

非常勤
出身校 浜松医科大学医学部医学科
認定医・専門医 医学博士
日本産婦人科学会専門医
専門分野

杉村 基(すぎむら もとい)

非常勤
出身校 浜松医科大学医学部医学科
認定医・専門医 医学博士
日本産婦人科学会専門医
専門分野

鈴木 省治(すずき しょうじ)

非常勤
出身校 名古屋大学
認定医・専門医 ・日本産婦人科学会専門医・指導医
・日本泌尿器科学会専門医・指導医
・愛知県医師会母体保護法指定医
・日本泌尿器科学会日本泌尿器科内視鏡学会・
   ロボティック学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
・日本泌尿器科学会日本泌尿器科内視鏡学会・
   ロボティック学会泌尿器ロボット支援手術
    プロクター認定医
・日本内視鏡外科学会技術認定医
            (泌尿器腹腔鏡)
専門分野

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